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AI・DX導入

海外製紙メーカーのAI・DX活用:公表事例23件から分かる進め方

2026年10月 更新

12社

海外の製紙メーカー

23件

公表事例

6つ

主な目的

この記事の要点

  • 公表事例は6つの目的に整理できる
  • 目的ごとに、蓄えるデータと使うAI・DXが決まる
  • 最初の一歩は、重要設備を少数選んだ故障予兆の試行

目的別:何のデータを蓄え、どのAI・DXを使うか

設備の故障を事前に知る

データ振動・温度・電流、故障・修理の記録

AI・DX異常検知AI・振動の常時監視

消耗部品の破断を防ぐ

データ部品を写したカメラ映像

AI・DX画像認識AI

品質を安定させる

データ原紙の水分むらの計測値

AI・DX水分むらの自動制御

欠陥・異物を見つける

データ原料・製品のカメラ画像

AI・DX異物検出AI

エネルギー使用量を減らす

データ工程データ、生産計画、気象

AI・DX蒸気・電力の需要予測AI

データを全工場でそろえる

データ計画・生産・品質・倉庫の記録

AI・DX製造実行システムの統一

出典:GAMATCH「海外製紙メーカーのAI・DX活用」(2026年10月)。各社の公表情報に基づく整理です。

事例の一覧:目的別の23件

公表事例23件を目的ごとに分けました。

各事例のページで、測る・判定・知らせる・対応・効果の流れと、工場・時期・試行の範囲・出典をご紹介しています。

出典は2013〜2026年の公表資料です。

導入後も運用を続けているかは、多くの事例で公表されていません。

12社には不織布メーカーの Freudenberg を含みます。

Metsä Board は Metsä Group のグループ会社です。

設備の故障を事前に知る11件

消耗部品の破断を防ぐ1件

品質を安定させる3件

欠陥・異物を見つける3件

エネルギー使用量を減らす2件

データを全工場でそろえる1件

そのほかの目的:生産計画・安全2件

Klabin・Metsä Board・Ahlstrom Caieiras 工場の3件に共通する点

  1. 少数の設備で試し、効果を見て拡大を判断

    Klabin は設備10台で試行し、Ahlstrom Caieiras 工場はセンサー10台から77台に広げました。

  2. 前提はデータの蓄積、なければセンサーの後付け

    Klabin は蓄積済みのデータにAIを使い、Ahlstrom Caieiras 工場は振動センサーを後付けしました。

  3. 警報の受け手とその後の行動が明確

    Klabin は警報を受けて原因を診断し、Metsä Board は運転員がロープを交換し、Ahlstrom Caieiras 工場は保全チームが対処します。

海外大手4社の推進体制

海外大手4社の推進体制は、本社主導型と現場検証型の2つに分かれます。

本社主導型

全社の標準と基盤を先に整え、工場へ展開

UPM

体制
CEO がスポンサーを務める全社AIプログラムと、2025年に設置したAIの専門組織
進め方
4つの価値軸に沿った12件の変革テーマ

出典:UPM Pulp(記事)、UPM 年次報告書2025(PDF)

APP

体制
自動化の責任者が、製造実行システムのパートナーの選定を説明
進め方
全社プロジェクト Garuda+ による、業務プロセスとシステムの標準化

出典:Pulp & Paper News、APP(Hannover Messe の発表)、SAP(発表)、APP(Garuda+ 第2段階)

現場検証型

工場の取り組みから始め、複数の工場へ展開

ストラエンソ

体制
損益責任を持つ事業単位への再編を、2025年に発表
進め方
  • 2017年からの仕組み:工場ごとのデジタル化計画、概念実証・試行・実装・全社展開の4段階、本社の資金
  • 現在:全社で4,000件超の改善案件

出典:ストラエンソ(2025年4月の発表)、The Manufacturing Outlook Europe(ストラエンソの寄稿)、ストラエンソ 投資家向け説明会2025(PDF)

SCGP

体制
全社戦略の柱にデジタル変革(AIを業務に使える社員は2,500人超)
進め方
データ分析チームがAIの用途を10の機能に分け、各機能の担当者と連携

出典:SCGP 2025年の業績資料(PDF)、SCGP(newsroom)、SCGP(newsroom:社内報)

ストラエンソの「2017年からの仕組み」は当時のデジタル責任者の寄稿によるもので、現在も同じ形で続いているかは確認できていません。

APP については、工場の保全に関する公表を確認できませんでした。

進め方:対象の選定から評価・展開までの5段階

事例をもとに、進め方を5つの段階に整理しました。

最初は1工場の保全部門で始め、品質の損失が大きい設備は品質・生産の部門と一緒に洗い出すことをおすすめします。

Klabin は1工場の保全部門が始め、ストラエンソは1工場で試してから複数の工場へ広げました。

  1. 1対象の選定

    自社で行うこと
    停止時間・損失額の大きい設備に絞り込み
    GAMATCHが行うこと
    候補の整理と、事例との対応づけ

    根拠の事例

  2. 2データ・センサーの確認

    自社で行うこと
    測っている量・頻度・保存先の確認
    GAMATCHが行うこと
    確認項目の一覧の提供と、確認の支援

    根拠の事例

    • Klabin:履歴データの蓄積
    • Ahlstrom Caieiras 工場:無線振動センサーの貼り付け(配線工事なし)
    • Suzano:センサーの後付けと故障記録の標準化
  3. 3警報後の対応の設計

    自社で行うこと
    警報の受け手・判断の基準・診断の手段の決定
    GAMATCHが行うこと
    事例の運用の型の提示

    根拠の事例

    • Klabin:集中監視拠点と原因の診断
    • Metsä Board:警報を受けた運転員が通紙ロープを計画的に交換
    • Ahlstrom Caieiras 工場:警報を受けた保全チームが、重大化の前に対処
  4. 4提供企業の選定と試行

    自社で行うこと
    提供企業・対象設備・評価の基準の決定
    GAMATCHが行うこと
    数百社から3〜5社を選び比較表を作成

    根拠の事例

  5. 5評価と展開

    自社で行うこと
    評価の基準での判定と、展開の判断
    GAMATCHが行うこと
    評価の取りまとめと、展開計画の支援

    根拠の事例

    • ストラエンソ:1工場で試行してから複数の工場へ展開
    • SCGP:設備保全のAIを複数の工場へ展開

最初の一歩

停止したときの損失が大きい重要設備を1工場で少数選び、AIで故障の兆しを早く知る試行から始めます。

海外の候補の選び方から試行までの進め方は、海外AI・DXマッチングと、製紙工場のDXの事例でご紹介しています。

海外AI・DXマッチング

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